
★このページは『TOMBO祭2024』のコンテンツであり、2024年11月24日時点の情報となります。
千葉智寿
Tomohisa Chiba
17才の頃、黒人ブルースのハーモニカプレイヤー「リトル・ウォルター」のアルバムに衝撃を受け、10ホールズハーモニカを始める。
「ジャンルの域を越え、心を歌い上げる様な独自の音色には深い哀愁と人間味が漂う」との評価を受け、多くのドラマや映画、映像などのテーマ曲やBGMなどに起用される。札幌を拠点に、全国各地での演奏活動やスタジオワークはもとより、各種ハーモニカのレッスンやワークショップなども各地で行なっている。
’88年 F.I.H.JAPAN主催日本ハーモニカコンテスト・ブルースハープ部門第1位。
’90年 日本ハーモニカ賞受賞。
’91年 イタリア「トリノ国際映画祭」での審査員特別賞受賞作「ただひとたびの人」に出演および演奏。
’24年 トンボ楽器製作所の「1710CVメジャーボーイ入門セット」での講座を担当。
これまでに4枚のソロアルバムをリリース。うち2枚は、北海道十勝地方の極寒の時期にだけ現れる希少な氷「ジュエリーアイス」の命名者で写真愛好家の浦島久氏の写真作品とのコラボレーションアルバムとなっている。
‘54年生まれ、北海道夕張市出身。
Main Harmonica &
Equipment
■ 10ホール・ハーモニカ(TOMBO製)
No.1710 メジャーボーイ
■ マイク
beyerdynamic M160
Discography

1997年

2002年

2010年

2016年
憧れのプレイヤー
Lee Oskar
Little Walter
Stevie Wonder
Toots Thielemans
Paul Butterfield
他多数
My Favorite Albums



Q&A
Q. 千葉さんの作品はどれも北海道と深い関係にありますが、千葉さんが奏でる音楽にとって北海道とはどのような存在なのでしょうか。
A. 僕は北海道で生まれ育ち、そして現在も北海道で暮らす120%の「道産子」です。
若い頃には北海道から離れていた時期もあったし、もちろん今でも北海道から各地へ出向きますが、北海道から出てみた時に、自分はやっぱし「道産子」だべさ、と気づく事も多々あります。
で、こんな自分をここまで育ててくれて、支えてくれている北海道には心から敬意を払い、ずっと大切にしていきたいと思っています。そして、道産子の自分の音楽には、そんな「あずましく」て心休まるような、北海道の自然や空気感、飾りっ気がなくて素朴な温もりなんかを音に込めて、メロディックなのにブルージーなイメージを伝えられればと思っています。
Q. 千葉さんはカスタマイズされたハーモニカも使われていると思いますが、こだわりはどのあたりにあるのでしょうか。また、音配列を変えることはあるのでしょうか。あるとしたらどんな時に行うのかなどお聞かせください。
A. 楽器は、演奏者である自分自身が使いやすく、満足できる必要があるかと思います。
もちろん、発売されている楽器はそれぞれの機種が独自に研究と創意工夫がされているので、優れたものが多く、その中でのチョイスは第一です。
でも、ある機種の大部分はとても好きなんだけど、もうちょっとだけ自分に合うように何とかなれば、と思う時には、好きな部分はそのままにしながら、自分に合うようにいろいろ工夫はしてみます。
例えばカバーだと、手に持った感じや、楽器の角で口当たりが痛いという場合とか、音量や音質、音抜けなどが、より自分の好みに合うように、いろんな機種のカバーを試しに合わせてみたりする時もあります。まあ、実際には機種ごとにサイズや形も微妙に違うため、合わない事の方が多いのですが、それでもいろいろ工夫はしてみています。
また、音配列も、曲によってはその曲に合うように、自分でリードを調整する場合もあります。
例えば2ndポジションでシの音も出したいとか、C調の楽器でAmの和音を出したいとか、また、例えば低いラの音などはベンドで出るけど、ベンドなしでも自然に出したい時とか、逆にベンドの音をより効果的に使いたいとか、まあ具体的には曲によって変わります。
もちろん、メジャー配列とマイナー配列のように、すでに音配列を変えているものもありますが、それ以外の場合には自分でリードを調整して、曲の雰囲気が自然に出るようにしています。
Q. ハーモニカが上手くなるためには、ハーモニカの練習以外にはどんなことをしたらよいでしょうか。ブレスコントロールが上手くなるために必要なメソッドなどあれば教えてください。
A. よく腹式呼吸という事がいわれますが、実際にはそればかりではなく、腹式まで行かなくても、微妙な呼吸のコントロールが必要な場合が多いです。
僕は肺活量が他の人より多いわけではないので、少ない息でもより効率的に音を出すことを常に考えています。
例えば、とても弱い息でもとても小さな音を出し続けたり、効率的に小さな音からより大きな音まで少ない息でもコントロールして、芯のある音を出すことを意識しています。これは、喉のあたりを使って呼吸をすると、鼻も排気口として息の出し入れができるので、ブレスなんかも鼻も使えるわけです。
喉と舌の奥のほうも意識して音を出してみて下さい。そして何と言っても音の強弱(ダイナミクス)をしっかりコントロールすることは大切かと思います。
またタンギングの練習では、タカタカタカタカとかトゥクトゥクトゥクトゥク、それに仮名では表現しづらいのですが、tutututuあるいはtotototo、kukukuku あるいはkokokoko 、gogogogoとか、tu〜tuk tu〜tukとかdu〜duk du〜dukとかを、ハープを咥えていてもいなくても声を出さずに練習するのも効果的かと思います。
Movie
メッセージ
ハーモニカという楽器は、微妙な息遣いをそのまま音楽に変えて表現できる楽器です。
奏者の微妙な息遣いで発せられた音が、言葉を発するよりもさらに心の琴線に触れて響いてゆく瞬間、このハーモニカという楽器の素晴らしさを感ぜずにはいられません。
どうぞ、そんなハーモニカの魅力に少しでも触れて頂けたらとても嬉しい限りです。
