
★このページは『TOMBO祭2024』のコンテンツであり、2024年11月24日時点の情報となります。
水野隆元
Takamoto Mizuno
複音ハーモニカは楽器を取り巻く音楽文化が誕生以来ほとんど変化していないので、どうにか新しいフェイズに持っていきたいと考えており、その為の活動をしています。
Main Harmonica &
Equipment
■ 複音ハーモニカ
No.3521 プレミアム21
No.1521 特製トンボバンド
No.9521 オクターブ・ハーモニカ

憧れのプレイヤー
Jan Garbarek
Evelyn Glennie
My Favorite Albums










Q&A
Q. 水野さんにとって複音ハーモニカの魅力とはどんなところでしょうか。
A.不完全で制約が多いことです。
例えば、管楽器にあるマウスピースのような風を一旦受け止めてくれる機構が存在せず、空気抵抗がほとんど無いので、身体から発せられた僅かな風を音に変えてしまいます。
これは誰でも発音できるという利点でもありますが、同時にトーンコントロールに於いて、前述のフィルター機能を利用出来ない為、音の全てが身体のブレスコントロールに委ねられることを意味します。
その他吸い音があること、半音階やキー変更の為に複数本切り替える必要があること、どれもが円滑なフレージングの為には不利な要素ばかりですが、ゆえにそこに新しい創造の入り込む余地が有ります。
何も書いていない白紙に描くことは全てが自由であるがゆえに困難ですが、そこに1本線を引くだけで大きな制約が生まれ、それが創造の足掛かりとなります。
複音ハーモニカは制約が多く不自由であるがゆえに、創造が生まれやすい楽器であるように思います。
Q. 複音ハーモニカは日本で進化、発展し、今は完成形になったような感もありますが、今後新しい活用の仕方、複音ハーモニカならではの曲などが出てくると思いますか?
A.出てくると思います。また、出さないと文化が途絶えてしまいます。
楽器の完成度についてですが、最終型ではないように思います。材質、空気の流動、形状、幾らでも試せる要素はあります。
ただ、新たに開発したハーモニカであっても、それが消費に結びつくかというと現実的に厳しいところがあるでしょう
ですからまずはソフトの開発。楽器の知名度の向上を経て、マニアックな若者やブレイクスルーを試みる開発者が出てくればハードも自ずと変わるでしょう。
Q. 水野さんはハーモニカの微調整をされていますか? されているとしたらどんなところでしょうか。
A.相対的に見て、あまりしない方だと思います。するのはトレモロ、アゲミの調整ぐらいでしょうか。
微調整が必要なのは、ほとんどの場合身体の使い方です。
Q. ピアニッシモを綺麗に出すにはどんな練習をしたらよいでしょうか。
A.息を止める練習がいいと思います。
止めている時の肺周りの筋肉群の在り方を記憶し、その筋肉のままの状態で風を送りだしたり、引っ張ったりできるようになれば、(技術的には)容易いです。
ただ、ピアニッシモとは世界観のことですから、美的感覚の中にその要素が少ない方には困難でしょう。
Information
メッセージ
トンボ楽器の複音ハーモニカは素敵な音色が出ます。
個人的には、音色そのものはドビュッシーなどのフランス物と相性が良く、和音や擦息音のコンビネーションは民族音楽や現代系への応用が可能と思います。
ピアソラ好きな方にはトンボ楽器のNo.9521オクターブ・ハーモニカを激しくお勧めします。
バンドネオンともHugo Diazとも違う、新しいアプローチが可能です。
楽器の音楽文化が未発達であるがゆえに、開拓し甲斐のある楽器なので、若い人に特に楽しんでもらいたいです。