トンボ楽器製作所
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株式会社トンボ楽器製作所

トンボ楽器製作所
大隅観

★このページは『TOMBO祭2023』のコンテンツであり、2023年11月26日時点の情報となります。

TOMBO祭・特別対談『10ホール・ハーモニカの可能性』

ハーモニカには多くの種類があり、歴史を振り返ると様々な製品が生まれては消えていきました。
ハーモニカプレイヤーは何を求め、既存の配列やチューニングを変えようとするのでしょうか。
また、ハーモニカをカスタマイズすることで広がる世界や楽しさとは何なのか。
トンボ楽器製作所取締役の真野哲郎が、ハーモニカカスタマイザーとして活躍中の大隅観氏の工房を訪ね、『10ホール・ハーモニカの可能性』と題して対談を行いました。





真野:

本日は興味深いお話がたくさん聞けるのではないかと楽しみにしておりました。
ハーモニカカスタマイザーとして国内だけでなく、海外のミュージシャンからも厚い信頼を得ている大隅観さんですが、肩書きは『ハーモニカカスタマイザー』でよいのでしょうか。
日本ではあまり耳にしない呼称ですが、普段どのように呼ばれているのでしょうか。

大隅:

本日はお越しいただきありがとうございます。
僕はハーモニカカスタマイザーですが同時にリペアマンでもあります。
日本ではカスタムとリペアが同じように語れることがありますが結構違うんですよね。
どちらも職人に違いありませんが、カスタマイズは技術の他にクリエイティブな面が大きいと思います。
僕はハーモニカのコンシェルジュ、とでも言いますか、ハーモニカ初心者の方に色々とレクチャーをしたり、ハーモニカに関する海外の情報をお伝えたりできたらいいなとも思っています。

真野:

ハーモニカコンシェルジュ、いい響きですね。
職人でもあり営業マンでもある、そんなイメージです。一つの呼称に拘らない、ということですね。
そんな個性豊かな大隅さんが、いつ、どのようにハーモニカと出会ったのかお話しいただけますでしょうか。

大隅:

出会いは小学生のときです。
カーステレオから長渕剛さんの巡恋歌が流れてきまして、そのハーモニカの、特にベンドの音色に惹かれました。と言っても当時はそれが何の音か分からず、音楽に詳しい母に訊ねたところ、ハーモニカの音だと分かったんです。
それからハーモニカソロのベンド音ばかりを繰り返し何百回も聴いていました(笑)
そして母に頼み、地元の楽器店でトンボさんのメジャーボーイを買ってもらいましたが、不思議なことに、買ったその日にできてしまったんですよ、ベンドが(笑)

真野:

え!? 本当ですか?



大隅:

何百回ってベンドだけ聴いていましたからね(笑)
あのキュィーンっていう音がいいんですよね!
未だにあの快感を超えるものには出会っていませんね。



真野:

ベンドができた時の快感ということですか?

大隅:

そうです。未だにベンド中毒です。
10ホール・ハーモニカを知らない周りの少年たちに聴かせると、みんな「すげーすげー」と言って驚いてくれて、学校の昼休みにライブとかしていたら長渕さん好きの大隅くんとしてちょっとした有名人になりました。

真野:

その後は演奏活動などされていたんですか?

大隅:

中学生でギターも始めて、一通り長渕さんをコピーしていましたね。
あ、実は僕、中学生のときに千賀太郎さんに会っているんですよ!
近所のジャズ喫茶で演奏されたんですが、そこでまたハーモニカに感動するわけです。太郎さんはブルースでしたから長渕さんとは違うわけで、僕はブルースを知りませんでしたので楽器店に聞きに行ったんです。そうしたら楽器店のマスターがブルース好きで色々なレコードを聴かせてくれたんです。
そして知ったんです。ハーモニカだけで音楽ができることを。

真野:

凄い縁ですね。ところでギターの方に関心は移らなかったんですか?

大隅:

僕はそもそもハーモニカの音色に魅せられましたからね。ギターはついででした。

真野:

そうなんですね。普通は好きになった音楽から楽器に興味を持つことが多いんですが、大隅さんはその逆で楽器の音色からなんですね。
もちろん、それも無いわけではないですが、珍しい方だと思います。

大隅:

そうですね……。
やっぱりベンドの音に憑りつかれてしまいましたから。
その後はブルースのレコード漁りをしていました。
あ、そういえば初めて買ったリー・オスカー・モデルに付属していたカセットテープがまだあるんですよ!



真野:

おお、これは(笑)
かなり貴重な品ですね。これを吹いているのは確か波木克己さんですね。

大隅:

そうです。
この中で曲名が分からないものが結構ありまして、波木さんに電話して聞いたんです。
「これ、何の曲ですか?」って。
それが波木さんとの出会いです(笑)

真野:

それはいつのことです?

大隅:

アメリカから帰ってきたときです。

真野:

大隅さんは思い立ったら即行動するタイプなんですね。
そんな大隅さんがハーモニカのカスタマイズに興味を持ったきっかけをお聞かせください。

大隅:

リー・オスカーさんの『ハーモニカ日和』ですね。
リーさんの曲をコピーしたかったんです。
でも、吹けない曲がほとんどなんですよ。
メーカーが発売しているリー・オスカー・モデルを全部揃えたのにですよ!

真野:

(笑)

大隅:

配列も分析して吹けない理由を探しまして、これでは吹けないってことに気づくんです。
それで、その後発売された楽譜とそこに記載されている解説を読んでやっと理由が分かりました。
発売されてないメロディメーカー(リー・オスカー・モデルの一種)のキーだったり、ローキーだったりしたんです。
いやいやいや、それって酷くないですか?
全部揃えたのに吹けないなんて(笑)

真野:

すみません(笑)



大隅:

でも、リーさんにハーモニカの面白さを教えてもらった、というか10ホール・ハーモニカの柔軟性や自由度を知ったんですよね。好きに作っていいんだと。
ちょうどその頃ブレンダン・パワーさんが日本でメジャーデビューしたんですが、ご存知のようにこの方も特殊なハーモニカを使用していて驚かされました。10ホールなのにクロマチックのようで、何を使っているかのか分かりませんでした。
そこで、まだ留学もしていなかったので英語は分からなかったんですけど、ブレンダンにメールをしたんですよ。

真野:

行動力が凄いですね(笑)
ブレンダン・パワーさんはプレイヤーとしても素晴らしいですが、カスタイマイザーとしても色々なことを試されるアイデアマンですね。
リードプレート自体をスライドさせたり、クロマチックのレバーの位置を変えたり……。

大隅:

ブレンダンがいなければ今の僕はありません。
リードプレートを真っ二つに折って繋げるなんて、普通考えませんよね。
メールに話を戻しますが、ブレンダンは教えてくれなかった、というか彼自身が何をどうしたか覚えていなかったみたいで、とにかく色々なことをやったので君も考えてみてくれ、みたいな返信でした。
よく使うキーは教えてくれましたけど。

真野:

なるほど。そういえば当時リーさんの音楽を聴いて、あれはクロマチックを使用している、と思っている方も多かったんです。
カスタマイズという発想がなかったんですね。
それで、ブレンダンから色々やってみな、と言われてどうされたんですか?

大隅:

いや、結局分からなかったんです。
それで、その時は一度考えるのは止めてしまいました。
その後アメリカへ行くことになりますが、アメリカってDIYが普通に行われる文化的土壌があるんですよ。
近所で開催されたワークショップで、エンボス加工をするとオーバーブローが簡単にできることを知るんですが、実際に教えてもらって加工してみると本当に簡単にオーバーブローができたんですよ。
僕はハーモニカをプレイすることはもちろん好きなんですけど、それ以上に加工する楽しさに、理想とする音色に近づけるためにいじっていくことも同じくらい楽しいことに気づいてしまったんです。



真野:

それは大きな転期でしたね。
大隅さんはカスタマイザーとしてたくさんの依頼を受けていますが、その内容はどんなものが多いのでしょうか。

大隅:

大きくは二通りでしょうか。
一つは具体的なリクエストで、もう一つは僕がカスタムしたオーバーブロー仕様のハーモニカです。
あとは教室の先生が使用している配列にしたいなどがあります。
ご自身の演奏をイメージしたリクエストはまだ少ないでしょうか……。

真野:

配列のカスタムと調整のカスタムという感じでしょうか。
どちらが多いですか?

大隅:

同じくらいです。

真野:

依頼は海外からもあるかと思いますが、どの辺りから来るんですか。

大隅:

この前はイスラエルからで、ベトナムや中国からもあります。
逆にヨーロッパやアメリカはカスタマイザーがたくさんいるので、日本を含めたアジアがメインになりますかね……。

真野:

配列を変えるときはリードを張り替えますか?

大隅:

張り替えなければ作れない場合と、そのまま使用できるものもあります。

真野:

全メーカー対応していますか?

大隅:

基本的に大丈夫です。

真野:

部品も?

大隅:

そうですね。取寄せています。

真野:

トンボはリードプレートを商品として販売していますからね。

大隅:

そう、僕がカスタムをしようと思ったのも、リードプレートが購入できたことも大きいです。
それにトンボさん工具も売っていますよね?
リード穴あけパンチとか修理工具セットとか買いましたよ(笑)

真野:

そうやってチャレンジしてくれるのは嬉しいですし、メーカーとしてももっと楽器をいじって欲しい、というか自分用にカスタマイズして楽しんで欲しいという思いがありますね。
先ほどもおっしゃっていた通り、発想はもっと自由でいいんですよ。

大隅:

日本は義務教育が厳しすぎるんじゃないですかね(笑)

真野:

メーカとしてはやりたくても諸々の事情でできないことも多々ありまして、だからプレイヤーには市販の製品を基本としつつも、自分用のチューニングを試して演奏の可能性を拡げて欲しいんですよね。
そうすると、もっと楽器が面白くなると思うんです。

大隅:

アメリカにはハーモニカを改造するワークショップなんかがあるんですが、そういったDIY体験ができる機会が日本にもあるといいですね。
皆で楽しくいじってみる、というジャンルが別にあってもいいと思います。

真野:

そうですね。ここ最近はコロナで中止していましたが、トンボでも修理講習会は行っていました。
座学だけでなく、分解して実際にリードに触ることで音の鳴る仕組みがよく分かりますからね。
トンボにも音が出なくなった、という修理依頼が結構ありますが、ごく簡単な原因であることが多く、ハーモニカの構造が分かっていれば自分で直せますし、修理代もかかりませんからチャレンジして欲しいと思っています。



大隅:

これはハーモニカだけの話ではないですけどね。
自分で直してみよう、と思う前に専門家に預けてしまう。

真野:

その方が確実なのは分かりますが、一度やってみて、それで失敗しちゃったら修理に出す、でいいと思います。
やってみることが大事かなと。
ただ日本でも都心とそれ以外の地域では事情は違いますね。
DIYが日常の中にあるところは、けっこうご自身で直す人も多いと感じます。

大隅:

僕の祖父は絹織物関係の仕事をしていたんですが、機械が故障したとき自分で直していました。
ただ、昔のアナログな機械とコンピュータで高度化した今のものでは違いますけどね。
そういう意味でハーモニカはDIYで直せる楽器です。
こう言ってしまうと僕の仕事も減っちゃうんですけどね(笑)
でも減っていいんです。
だからカスタム含めたメンテナンスセットを販売しています。
しかもDVD付きです。


真野:

リード交換についても収録されているんですか?

大隅:

そうです。それも映像で確認することができます。
でも、やはりやろうとする人は少ないでしょうか。
『壊す』ということに恐怖心があるみたいですが、一度壊してしまえばいいんですよ。
リードにどれくらいの負荷がかかれば折れる、というのも実際やってみると感覚が分かりますからね。

真野:

トンボがなぜリードプレートや修理キットを販売しているかといいますと、使い捨てにして欲しくないという思いがあります。
他の楽器はメンテナンスをして長く使用するという考え方ですが、ハーモニカはピッチが狂ったら捨てて新しいものを購入する、ということが普通です。
しかしそれだと楽器というよりは玩具に近く、結果的にハーモニカの楽器としての地位を落とすことにも繋がるように感じています。
そういったイメージも変えたいと思い、部品や修理キットを販売したんです。

大隅:

その潮流はトンボさんが作ったと思います。
それ以前は他社さんから部品販売はしていませんでしたから。

真野:

部品販売に関してはリー・オスカーさんのアイデアで、現会長で当時社長だった真野泰治が実現させたんです。
売れるとは思いませんでしたが、販売意図は先ほど述べたようなことですから関係なかったんです。
自分でメンテナンス出来るようになることが重要だと考えたからです。

大隅:

アメリカではカスタマイザー向けの雑誌があって、そこには必ずリーさんが出てくるんですが、その記事でリードプレートがネジ止めになって交換できることを知りました。
当時、他社製品は釘止めだったと思いますので、3本のネジでリードプレートが交換できるのは衝撃でしたね。
その後他社さんもすぐに追従しましたが、トンボさんが初めてでした。

真野:

そうですね。発想の転換だとは思いますが、当時は最先端でしたね。
大隅さんはアメリカに留学していますが、何かきっかけはあったんですか?

大隅:

はい。高校時代のバンドメンバーが奨学金でバークレー音楽大学に留学したことがきっかけです。
僕は大学でジャズ研に入っていたんですが、当時はオーバーブローもできませんでしたので、10ホールの限界みたいなものを感じたりしていたんです。
そこで、留学という選択肢が浮かんだんです。
その留学先の近所で先ほどお話ししたワークショップに出会うんです。運命ですね。

真野:

なるほど。そこでオーバーブロー用のカスタマイズ方法を知ったんですよね。

大隅:

そうなんです。
それからは特に練習をしなくてもオーバーブローができるようになりました。
オーバーブローをマスターしている深沢剛さんは、オーバーブローという“翼“を手に入れた後、どのように活用していくかが課題だとおっしゃっていました。
確かにそうですよね。
“音階”を手に入れたからといって、それでトランペットのように吹けるかというとそうではないですし。

真野:

それはこれからプレイヤーが模索していくことだ、と。

大隅:

はい。僕の先輩方はリトル・ウォルターのようなブルースマンに憧れた要素がありましたが、僕たちの世代にとってはあまり馴染みがなかったりします。
10ホール・ハーモニカ=ブルースというイメージが強いので、もっと色々な表現ができる楽器だと知っていただけるようになれば、可能性も広がっていくと思います。
カスタマイズはそういった意味でもニーズがあると思いますし、これからプレイヤーと一緒に模索していくことが必要かと思います。



真野:

具体的には先ほど名前の出たブレンダン・パワーもそうですが、カスタマイズしたハーモニカで曲を作る、ということでしょうか。

大隅:

そうですね。

真野:

その意味では千賀太郎さんも色々と模索し、実践していますね。
メジャーディアトニックに拘らず、メロディメーカーやナチュラルマイナーも積極的に使っていますし、必要であればカスタマイズもしています。
自分が表現したいことにマッチしたハーモニカを選ぶ、作るといった感じです。

大隅:

ある意味、それはアーティストの仕事なのかもしれません。
素晴らしいサンプルを提供することで、一般ユーザーに広く10ホール・ハーモニカの可能性を届けることができますから。

真野:

そうですね。そのためにメーカーはアーティストに表現の自由を与えるツールを提供したり、サポートをしたいと思っています。

大隅:

ブレンダンは作曲も演奏もカスタマイズも自分でやってしまう方ですが、僕も彼からは多くのことを学びました。
このアイリッシュハーモニカは、形状はクロマチックですが、スライドレバーを押すと半音ではなく一音上がるんです。

真野:

ハーモニカのレバーを押すと半音上がる、というのが暗黙の了解みたいになっていますが、発想の転換でエスニックな音楽にも適した演奏ができるようにカスタマイズが可能になるんですよね。

大隅:

そうなんです。
ブレンダンが言うには、これによって早いアイリッシュ音楽における三連符も簡単にできるようになるんです。



真野:

いいですね~

大隅:

中東にも独特の音階がありますからね。
西洋音楽が標準になっていることもあって市販のハーモニカの音階はそれに合わせていますが、エスニックなものはカスタマイズした方がスムーズに吹けることがありますね。

真野:

そうですね。
他に何か驚くようなカスタマイズハーモニカなんてありますか?

大隅:

最近トンボさんのパイプホルンを手に入れまして、通常はこれ全部吹音なんですけど、吸音に仕様にしてみたんです。

真野:

え?

大隅:

そうしたらですね、オーバーブローが可能になったことに気づきました。
その音はハーモニカというよりサックスに近いと思います。
通常ベンドができない楽器でできるようになったんです。



真野:

パイプホルンのパイプの役割は本来倍音を消して、真の音をしっかり遠くに飛ばすことなんです。合奏楽器ですからね。

大隅:

なるほど、僕は逆の使い方をしていたんですね(笑)
アンサンブル用のハーモニカはリードも大きいですから音も大きくてお気に入りです。
10ホール・ハーモニカが好きな人って恐らくベンドが好きなんだと思いますけど、クロマチックや教育用ハーモニカでも、本来の設計とは違うかもしれませんがベンドはできるんですよね。
10ホールユーザー好みの音も作れるんです。

真野:

メーカーが意図しない使われ方をして、それが一般化する、なんてことは歴史的に他の楽器でもありますからね。

大隅:

メジャーボーイを使っている方はこのパイプホルンのベンド、是非試して欲しいですね。
でっかい音出ますよ。

真野:

このパイプホルンはアンサンブル用なので音が大きい代わりに、やはり重量もあります。
日本を代表するクロマチック奏者の和谷泰扶さんはクラシック楽器と共演する関係でマイクを通さないのでハーモニカの音量を特に気にされます。
彼は音が大きくなるなら楽器が重くなってもよいし、楽器に合わせて演奏できる体を作ればいい、という考えなんですよ。
実はパイプホルンの吹き吸いバージョンを試作したことがあって、それは和谷さんに音の大きいハーモニカを作って欲しいと言われたのがきっかけなんです。
流石にこの大きさのクロマチック・ハーモニカは厳しいですよね(笑)

大隅:

記念品なんかで出したら面白いですね(笑)

真野:

でもこれくらいの音量が出ればグランドピアノとも共演できますね。

大隅:

僕は長いこと10ホールしか知らなかったこともあって、このパイプホルンもそうですが、今色々なハーモニカに興味があるんです。
ハーモニカの可能性を拡げるという意味では、例えば、あれは高齢者が嗜むもの、といった勝手なイメージを持たないことが大切だと今は思います。
もっと早く気づいていれば良かったです。

真野:

実は10穴サイズのパイプハーモニカや12穴ハーモニカなど昔は色々作っていたんです。
明治大正から西洋音楽が入ってきますが、まず譜面が先に入ってくるんです。
しかしバイオリンやチェロといった楽器が入ってこない。
仕方がないので色々な音域のハーモニカを作ってハーモニカオーケストラで合奏をしていたんです。
パイプホルンはその名の通りホルンの音域ですね。

大隅:

なるほど。
今若者の間でアナログレコードやカセットテープに興味を持つ人が増えていますが、僕が昔のハーモニカに抱く思いと似ているところがあります。
次はコントラバスとか使ってみたいですね。

真野:

是非お願いします。
さて、そんな好奇心旺盛な大隅さんですが、今後挑戦してみたいことや目標なんかはありますか?

大隅:

そうですね……大きなことは特に考えていませんが、一人でハーモニカを吹くというより、世界中の人と一緒にハーモニカを楽しみたいと思っています。
カスタマイズはそのパスポートみたいなものですかね。
これがあったからハーモニカの話ができて、外国の文化にも興味を持つことができました。
だからハーモニカを通して、素敵な出会いのある日々を送ることができればいいなと思っています。
耳寄りなハーモニカネタなどありましたら気軽に話しかけてくれればと思います!

真野:

困ったときは大隅観、みたいな(笑)

大隅:

そうですね(笑)アンパンマンじゃないですが、ハーモニカマンとして相談に乗ります。

真野:

それはいいですね!
では最後になりましたが、大隅さんが“凄い”と思うプレイヤーと、その動画などご紹介いただけますでしょうか。

大隅:

分かりました。
YouTubeが身近になってからは手軽に色々な音楽に出会うことが可能になりましたし、民俗音楽の不思議な旋律をハーモニカで吹いている動画などはずっと見ていられるくらい楽しいですね。
何をすればこのように吹けるのか、とか。

それでは、個人的に異色を感じる海外のプレーヤーから3名をご紹介します。

①Deiaa Hamza(シリア出身 レバノン在住)
https://www.youtube.com/watch?v=xAXSzn8Ujm0

②Roni Eytan (イスラエル/USA) 半音の半音
ブレンダンのカスタム/微分音クロマチックハーモニカを使用。
The Microtonal Chromatic Harmonica was made by Brendan Power
https://www.youtube.com/watch?v=dMnqCs1S9qc

③ERIC CHAFER (フランス) リーオスカーモデルで、オーギュメンテッドチューニングしたものを使ってます。
https://www.youtube.com/watch?v=cL-9Roj7cB4

あと、僕の実験動画なんかもよろしければご覧ください。
①“子犬のワルツ”
メジャーボーイのリードプレートを繋げた合わせた13穴カスタム
https://www.youtube.com/watch?v=dYK0DoOjd3I

②パガニーニ 吹き吸いできれば窒息しないか?の実験
Moto Perpetuo Op.1 1Paganini
https://www.youtube.com/watch?v=kwLGDdc3Ze8

真野:

ありがとうございます。
とても有意義な対談ができました。
読者の皆さんにも『10ホール・ハーモニカの可能性』を感じていただけたことと思います。

大隅:

こちらこそ、ありがとうございました。





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