株式会社トンボ楽器製作所

ハーモニカは種類によって音の配列が異なる楽器です
ドレミファソラシド、のように音が順番に並んでいなかったり、吹き音と吸い音で音が異なったり、#や♭といった半音階が入っていないタイプなど、様々です。
ここでは、少々ややこしいハーモニカの種類について解説いたします。
※画像をクリックすると製品ページへ遷移します。
①10ホールハーモニカ (ブルースハーモニカ)

ブルースハーモニカ、という呼称が一般的となっている、穴が10個(10ホール)のハーモニカです。
音域は3オクターブありますが、低音域と高音域に入っていない音があります。
また、10ホールハーモニカはスケール(音階)楽器なので調子(キー)が設定されており、基本的な12調子(1オクターブ分)はどの機種でも揃っています。
C調の構成音はドレミファソラシ、つまりCDEFGABです。音配列表をご覧ください。
低音部にはファ(F)とラ(A)がなく、ソ(G)が2箇所あります。高音はシ(B)が入っていません。
入っていない音はベンドという音を下げるテクニックで出すことが可能です。
また、バンプ奏法という和音を使用した表現も可能です。
10ホールハーモニカはブルースはもちろん、ロックやフォーク、ポピュラー音楽でも幅広く活躍しています。ハーモニカホルダーを使用したギターの弾き語りでも目にすることがあると思います。
②クロマチックハーモニカ

その名の通りクロマチック(半音階)を出すことが可能なハーモニカです。つまり、1オクターブ12音を出すことができます。マウスピースのパーツにはスライドレバーがあり、それを押すと半音上がった音が出る構造になっています。
音配列をご覧ください。
レバーを押さない状態はC調となり、他の調子の場合はスケールによってレバー操作が必要になるため、覚える必要があります。
こちらは1穴で4音出せる構造になっており、空気漏れを防ぐために、バルブというセロハンがリードプレートに着いています。また、マウスピースの厚み分、距離があるため、リードまで空気が届く時間も考慮する必要があります。
半音階が出せるのは便利ですが、その分構造も複雑になり、知識や練習が必要なハーモニカと言えましょう。
ポピュラー音楽でも使用されますが、クラシックやジャズなど、高度なテクニックを要するジャンルでも活躍しています。
※複音配列のNo.1244ユニカや44穴44音のS-50クロマチックシングルは下記商品ページをご覧ください。
③複音ハーモニカ

上下2枚のリードを同時に鳴らすことで、トレモロ(揺らぎ)音色を得ることができるハーモニカです。
こちらは10ホールハーモニカと同じく、スケール(音階)楽器のため、調子(キー)があります。
特徴としては、吹き音と吸音が交互に並んでいる、マイナーキー(短調)のラインナップがある、21穴、22穴、24穴、30穴と、音域が異なる機種がある、などがございます。
配列を参照ください。
メジャーはC、マイナーはAマイナー(Am)の配列表となります。
複音ハーモニカは戦前戦中の日本の教育で使用されたこともあり、高齢者の方は今でも吹ける方が多い楽器です。
日本で独自に進化、発展を遂げ、ベース奏法や分散和音などのテクニックも確立し、伴奏を入れた独奏を可能にしました。
童謡、唱歌、演歌などの抒情的な旋律と、複音ならではのトレモロ音色の相性もよく、地域のイベントや各コミュニティでの演奏など、幅広く活躍しています。
ハーモニカ教室やサークル活動も活発に行われており、発表会も盛んに催されています。
④教育用ハーモニカ

戦後、GHQの指針により音楽教育に器楽の導入が検討され、数年後正式にハーモニカが導入されました。
従来の複音ハーモニカでは、配列が音階順になっていないことや高額ということもあり、文部省から指示された内容に合致しませんでした。そうして誕生したのが、教育用シングルです。
音階はドレミ順に並んでおり、1穴1音のシンプルな構造となっており価格も抑えることに成功しています。
⑤アンサンブルハーモニカ

ハーモニカだけでアンサンブル(合奏)を可能にするのが、アンサンブルハーモニカです。
低音用のバスハーモニカ、和音にはコードハーモニカ、ソプラノやアルトの音域でもより大きな音を出すことができるホルンハーモニカが用意されています。
トンボ楽器ではアンサンブルをより身近に、というコンセプトでポケットバスとポケットコードを販売しています。
アンサンブルハーモニカの特徴は、全て吹き音で吸い音は使用しません。
アンサンブルハーモニカは他の種類に比べ大きな音が出せますが、その分リードが大きくなり、吸い音だと音の立ち上がりが弱くなってしまうことが懸念されるかたです。
配列はコントラバスやホルンハーモニカはピアノと同じ配置になっているので、下段の穴が白鍵、上段が黒鍵となります。
コードハーモニカはメジャー、セブンス、マイナー、テンションと4段に別れています。